
肌はどのようにできるのでしょうか?またどのように成り立っているか、ご存じですか?「肌の構造」を知らないと美肌にはなれない!と言うのは、わたしの取り組んできたこの7年間の研究で実感したことです。
表面だけにとらわれているのでは、根本的な解決にはいたりません。まずは肌の役割と構造を知る必要があります。
それは少し面倒な気がするかも知れませんが、知らないでいると高価すぎる不必要なケアをしたり、かえって肌を弱らせたり衰えさせたりしかねないのです。
そうならないためにも正しい知識を身につけることが、最強の武器であり味方となります。
肌がどのようにな構造なのかを知ってはじめて、本当の意味で肌をいたわる方法に気づけるのです。
考えてみてください。家を建てるとしましょう。土台となる基礎をしっかり作らなければ、ステキな上物だけに気を配るのでは、最初はよいかも知れませんが長く維持し続けることはできません。肌も同じです。
高級な成分といわれるものをいくら上から塗り込んでも、それが本当に有効なのか、見極める手段がありますか?それに角質層までしか浸透しません。それではその有用成分は角質層に効果をもたらす成分でしょうか?専門家の言うことを鵜呑みにすれば、それだけで美肌になれますか?ご自身の肌です。誰よりもご自分で責任をもたなければいけません。
美容のカテゴリーでは、肌の本質をわかりやすくお伝えします。肌にとって何が必要で何が不必要か、その答えが見つかります。美肌を実現するには、やはりある程度の知識をご自分で身につける必要があり、またそれが最短の近道になるのです。
最近は男性もご自身の肌に対する関心が高まっているようですが、なんといっても女性は年齢に関わらず、気品と優美をそなえた美の女神に愛される存在です。誰もが触れたくなるような美肌を獲得して、ご自身のさらなる自信に繋げていただければと思います。

目次
1. 肌の無言のささやきに耳を傾けましょう

あなたは肌が綺麗な人を羨ましいと思ったことはありませんか。
きめ細かなみずみずしい弾む肌を見るとあきらめの境地が増し、投げやりな気持ちになるものですが、あきらめないでください。
乾燥の環境下では、水分や油分をおぎなわないと肌がつっぱりカサカサになってしまうので、スキンケアは欠かすことはできませんが、基礎化粧品はなにを選べばよいのか、なかなか難しいですね。自分の肌にしっくりくるものと出会えずに苦労した経験をお持ちのはずです。
時間を戻すことはできませんが、なによりも大事なことは、自分の大切な肌であるにもかかわらず、肌がどのように成り立っているのか、肌のやくわりは何かを知らないために惑ってしまうケースが大半です。肌の成り立ちとやくわりを知って、貴重な人生の時間に生かしましょう。
肌がどのようにできているのか、どのように変化していくのかを知れば肌の扱い方も分かります。
肌自身は何を欲しているのか、何が不必要なのかも分かります。
肌はしゃべることはできないので、言葉にできない無言のささやきに耳を傾けて寄りそってあげてください。
2. 肌ってどんな役割があるの?

肌はからだのなかで、いちばん大きい臓器です!
しかも、外界に対してむき出し!畳一畳分(1.6平方メートル)の面積があります。
重さは、皮下組織を含め、9キロブラムにもなるので、最大量の臓器なのです。体重の16パーセントも占めてます。
そして肌は3層で成り立っていて、一番外側が表皮です。
厚さは0.06~0.2mm。こんなに薄いのに4層(手のひら・足裏のみ5層)にも分かれています。
表皮のすぐ下には真皮があります。厚さは2mmです。
そしてその真皮の下には皮下組織があります。厚さは2~9mmです。
肌の成分は水分が58%、タンパク質が23%、脂質が14%。
また肌には、いろいろな付属器があります。
それは毛、爪、皮膚線(汗腺、皮脂腺など)などです。
そして表面には、細い溝と太い溝が縦横に走っています。
肌の最大の役割は、守る働きと感覚としての働きです。
それでは最初に、この「肌の役割」からお話しいたします。
3. 守っています!

肌は体内と外界の環境をへだて、異物の侵入をふせいで内臓を守っています。
そして、水分環境と空気環境をととのえるバリア構造をもっているのです。
最も大事なこととして、体内の水分の蒸発をふせいでいます。
その一方、汗をだして水分を蒸発させ、体温調整も行います。1日に0.4リットルもの水分を蒸発させているのです。
これは肌には恒常性(ホメオスタシス)を維持する重要な役目があるからです。
ご存知のように、肌の一番外側の層は角質層です。この薄膜がなかったら、どうなると思いますか?
もしなかったら水分がどんどん蒸発して、24時間のうちに死んでしまうのです!
成人のからだのおよそ60〜65(老年50〜55)パーセントをしめている水分ですが、この体液が流れ出ないように防いでいるのです。
それと異物が侵入したときに、それを感知して集中攻撃する免疫システムもそなえています。
4. 感覚に長け、色や明暗も区別している

肌の感覚の働きの一つに、肌は紫外線をたくさん浴びると火傷になりますが、これは火傷をおこすことで警告をしてくれているのです。
けれども肌の感覚機能は、それだけではありませんでした!
肌は可視光線の青、緑、赤といった色を感じて読み取り、色の識別をしていることが、最近の研究で明らかになってきました。
色というのは波長の長短で、色の識別はタンパク質オプシンの働きによってなされます。このオプシンが表皮にも存在していたのです。
さらに表皮は、明暗の区別を感じるタンパク質ロドプシンも存在させていました。
さらに、お腹が痛いとき無意識に手を当て、さすったりしますが、これは肌と内臓の神経末端は接触しているので、お腹をさすると脳が内臓の痛みを肌の痛みと勘違いして、痛みを軽減させるという現象がひき起こされるからなのです。
触感、痛覚・快覚感、熱・冷、かゆみ、といった刺激を感じる機能があることはご承知の通りです。
5. まとめ

さていかがでしたでしょうか。今回は、肌のやくわりとして守る働きと、感覚としての働きを、お伝えしました。
肌はさまざまな外部の刺激の侵入から体を守り、体内の水分を調整して失わないよう防ぐのですが、体内の老廃物は汗腺から汗として体外に吐き出す排泄作用もおこなっています。
また汗を出して体温の上昇をおさえ、寒いときには立毛筋を収縮させて体温が失われないよう体温調節をおこなっているのです。
皮下には脂肪を蓄える貯蓄作用があり、弱酸性の皮脂を分泌して、肌の乾燥を防ぐと同時に細菌の繁殖も防いでいます。
さらに免疫システムを備えた細胞も存在しています。
肌のもう一つのやくわり、感覚機能は紫外線などの危険をキャッチし深部へのダメージを未然に防ぐ働きをもっていることでした。
その上、色と明暗を識別する能力がありました。
触覚、痛感・快感覚、温覚・冷覚、かゆみなどの感覚をとらえるやくわりもあります。
このような肌のやくわりがスムーズにおこなわることで、美肌が保たれるのです。
それではその肌はどのような構造になっていて、それぞれどんな役割をしているのか、次回は詳しく見ていき、美肌になるための知識を深めましょう!
監修:熊谷善博 生体防御学/東京大学大学院医学系研究科博士課程修了/ニューヨーク科学アカデミー会員
最後までお読みくださり、ありがとうございました。