ミニマリズムの極めつきインテリア

ガラスのバスタブ

モダンミニマリズム

ミニマリストは、余計なモノを一切もたずに必要最小限のものだけで生活する人のことです。

ものがなければないほど、イマジネーションが発達します。

ミニマリズムは思想です。資本主義の消費経済に疑問を抱いた壮年期の人たちの間で流行しています。しかし考えてみると、シニア世代以降で終活を意識しはじめる年代においても必要なアプローチです。

今日ご紹介するのは、MASAKAZU BOKURAさんデザインのパリのアパルトマンです。具体的な住まい方、インテリアの実例を見てその美学に触れてみたいと思います。

これぞミニマリズムの極めつきインテリア。まさしくアートですね。こんな家で暮らすことを想像したら、ワクワクしてしまいます。部屋中に充満した研ぎ澄まされた感性に触発され、インスピレーションが押し寄せる生活ができることでしょう。

それでは洗練されたスタイリッシュな感覚で日本と西洋を一体化したミニマルモダンな様式美を拝見することにしましょう。


大ルーヴル計画によるガラスのピラミッド
ルーヴル・ピラミッド

MASAKAZU BOKURAさんは、1976年に早稲田大学で建築と都市主義の学位を取得し、1979年にはパリのエコール・デ・ボザールで2番目の学位を取得しています。1983年~1989年の「大ルーヴル計画」ではイオ・ミン・ペイに協力しました。

そしてBOKURA氏はパリのアパート設計においては、モダンミニマリズムを表現しました。

ピクチャーウィンド

この建物は1950年代の8階が最上階に来るように再建築されていて、セーヌ川沿いにあり、5つのテラスから景色が楽しめます。

屋外の風景を絵画のようにとらえ、大きな額縁に見立てた窓のことをピクチャーウィンドといいます。

この手法によって、街の素晴らしい屋根やモニュメントがまるで絵画を眺めているように感じられます。

時間とともに移り変わるパリの光がさし込む気持ちのよい大きなリビングルームでは、まったりとした雰囲気が醸し出されています。

リビングルーム

床にはオークを使っています。そして消石灰の塗料による壁が光を反射します。照明は複数の光を使っています。光量がそれぞれ違います。それはなぜかというとオークを使った家具と、設計者のデザインを生かすためです。

テーブルは床に座った日本式の食事のために低くしてあります。

アパート内を照らしているランプは、イサム ノグチ。特殊なデザインの暖炉は、前景と同じ素材でできています。暖炉がある部屋は、時を忘れさせ、ぬくもりと癒しを与えてくれます。

部屋作りで重要な要素は光です。日光を取り入れることで健康的な明るい暮らしをすることができますが、それ以外に、部屋の中に間接照明を備えることで贅沢な空間が演出できます。少し幻想的だったり非現実的な独特な異空間を作って、忙しい雑事から解放されるくつろぎの場として楽しむこともできるでしょう。

部屋の写真が4枚

バスルームから脱衣所を通って続く廊下の眺め。豪華なバスタブ。19ミリの厚いガラスでできたバスタブ。

ベッドルームも禅の要素が濃く、シンプルな板のベッドが置かれています。ふとんは手作りのエジプシャンコットンでつくられています。

最低限のミニマルでシンプルな生活だからこそ、味気ないものにしてはいけません。こだわりの究極の選択をするためには、センスと感性、そして知識を磨かなくてはなりません。少ないひとつひとつを吟味して選ぶ目を養うことがファーストステップです。

日常の消耗品は仕方がないとしても、家具選びは、一生愛し続けるくらいの気持ちでチョイスすることが大事です。

どこにもない、誰も持っていない一点ものこそ貴重で、迎合主義は無益です。

家具やそのほかの生活用品、飾りを最小限に抑えるならなおのこと、どこかに有機的な部分を作り出して、快適なオリジナルな暮らし方を目指すことも大切です。BOKURA氏の場合、リビングの2箇所にガラスケースに入った草を配しています。またベッドルームの床に、花びらを盛って空間を息づかせています。

今回ご紹介させていただいた主だった内容は、出版が1996年の随分前の本からなのですが、どこにも古さは感じられません。と言うか、まだ追いつけていません。西洋式生活スタイルを取り入れた日本の暮らしに活用できるヒントと美的感覚を340ページの写真から見るだけでも教わることができます。日本語ではありませんが、十二分に楽しめます。

『Paris Interiors』

Paris Interiors TASCHEN

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