未来の食はこんなに変わる!代替肉

ペスクタリアンの真行寺君枝

コロナパンデミックを契機に、社会は大きく変革しています。食に関しては、ずっと以前から着々と研究開発が進められていました。

あなたの体を構成するために必要不可欠なタンパク質を、従属栄養生物のわたしたちは外から摂り入れなければなりませんが、未来食では、それは代替肉(だいたいにく)へと変わります。

食べることは生きることに直結しているので、避けて通ることはできません。いったい、どういった変化が起ころうとしているのか報告をさせていただきます。

農業、畜産が地球に与える被害の包括的な分析によると、肉や乳製品をやめることが、地球崩壊への影響を減らす最大にして唯一の方法なのだそうです!これにはびっくり、えらいことです。

肉食を好む方にはお聞きになりたくない情報かもしれませんが、母なる地球を守るために、そして孫子の代へと持続可能な地球を維持するために、ぜひ記事を読み進めてください。

目次

  1. わたしはペスクタリアン
  2. ベジタリアン
  3. テックフード(最先端技術)
  4. 代替肉(植物肉 – 大豆・藻類)
  5. 昆虫食
  6. 培養肉(クリーンミート 人口肉)
  7. 背景
  8. 食品ロス
  9. 想像をはるかに超える2040年以降の暮らしと食

 わたしはぺスクタリアン

菜食(和食)

魚介類を食べ、ときおり乳製品や卵も摂るゆるいベジタリアンをぺスクタリアンといいます。わたしの食生活は野菜が中心ですが、タンパク源に大豆のほかに魚介類を食べ、ケーキやメレンゲ、茶巾などには卵が使われていますが食べ、バター、チーズ、生クリームなどの乳製品もときには食べます。

こうした食事をはじめたのは、二十歳の時です。それから二十代半ばで結婚を経験しましたが、義父は食肉業で地域の発展に寄与したということで、国から勲章を授与された家でした。義母から「君枝さんは肉を食べないんですってね。」と言われ、とても申し訳なく感じて主義を一度、放棄しました。ですので、当時は10キロくらいある牛肉の塊をさばいて調理していました。実はわたしは、肉料理は本当はとても得意です。安いステーキ肉でも火加減を調節し、おいしくお出しすることができる腕前です。

でも、義父母が他界した後、子供が産まれてからは、魚介も摂らないヴィーガンになりました。離乳食がはじまって、わたしが食べさせる食事で我が子が育つと思うと、肉を料理することができなくなりました。

公園の砂場で知り合った眞紀子さんにわたしは心酔し、その影響で無農薬、無添加にも目覚めました。衣類は綿を選び、界面活性剤不使用の石鹸で髪を洗いました。リンスには酢を使っていました。湯に酢を入れてみてください。水がなめらかに柔らかくなるのに驚かれると思います。

薬も極力避け、すぎな、隈笹(くまざさ)、蓬(よもぎ)などを常備して、煎じて飲んだり、消毒用に使ったりしていました。蓮根の節の部分が咳に効くと聞いて、天日干しにし、細かくして咳止めを作っていました。お腹が痛いときには、枇杷(びわ)の葉をあてがい、熱した蒟蒻(こんにゃく)で温めます。虫刺されには桃の葉を湯船に浮かべて入れば治ります。

廃村にあった別荘では、朝は畑で野菜の収穫。石油製品を一切置かない生活をしていました。暖は炭でとっていました。囲炉裏で煮炊きするので、複雑な手の込んだことをしなくても、食材がそれだけで美味しくなってしまいます。

話が脱線してしまいましたが、魚も動物ですが、わたしがいわゆる肉というものを食べないのは、健康のためでもダイエットのためでもありません。自分にでき得る限りの殺生を退けたいという思いで続けています。そのため、おいしいから食べたいという欲求は、わたしには抑えることが容易いです。

けれども子供に強制するなと夫から強い反発を受け、家族の食事には、有機農法、無農薬、清浄豚などを取り寄せて料理し、自分だけ菜食をしました。

ところが初めての子供を育てることは、未経験でおっかなびっくりの連続、時間がいくらあっても足りませんでした。自分の食事を作っている暇など、どこにもありませんでした。何を食べているのかわからなくなるほど余裕がない状態だったので、手間と時間が必要なヴィーガンを続けるのは諦めました。

そして菜食でも、ゆるい、ぺスクタリアン志向で今に至っています。

それでも一つだけやめられない動物食材があります。それはジェリーです。自家製の場合なら、植物性の寒天やアガーで作ればよいのですが、市販のジェリーは動物性のゼラチンで固められています。解っているのですが、ジェリーが大好物でこれだけは我慢できないでいます。

 ベジタリアン

アンチンボルド『野菜庭師』
アンチンボルド「野菜庭師」1587~1590年 市立博物館アラポンツォーネ蔵 上下反転で帽子を被った人の顔に

植物だって、切られるときに「痛い」と、悲鳴をあげているかもしれません。けれども自分よりも弱いものには非情なのですね。

野菜を食せば野菜の命を奪ってしまいます。野菜は本来、何のために存在するのでしょうか。生きていくには、たくさんの命の犠牲が伴います。それを最小限に留めるように努めたいと思っています。

あなたはご存じでしょうか。規格に合わずに生まれた家畜がどのように処分されているか。

なぜ地球では食物連鎖が成り立っているのか、わたしにはこのことが、この世の一番の不思議なのです。奇しくも神が存在するなら、なぜこのように恐ろしい世界を作ったのか不思議でなりません。もしも自分が、食されるために生まれ、育てられたとしたら、想像しただけでも身の毛もよだつ恐怖です。

21世紀は同時多発テロと狂牛病ではじまりましたが、人類学者レヴィ=ストロースは、「人間によって牛たちが共食いを強いられた」と言いました。

牛が解体されるのに、ベルトコンベアに乗っていく姿は痛ましすぎて言葉になりません。牛だけではありません。畜産の現状に目を向ければ、驚愕されるでしょう。こうした話は疎まれることが多いのでやめておきます。

ただ、これだけは申し上げたい。現代は原始時代ではありません。狩猟採集社会はおよそ7000年前に終わりました。現在は食糧危機が訪れるのを予測し、代替肉が研究されていますが、少し前までは飽食の時代で、「グルメ」が大流行りでした。現代は、動物を食べなくても十分に、さまざまな食材が揃っています。

もともと日本人は明治までは菜食中心の食生活を送っていました。わたしがごく小さい頃はステーキを食べる家庭はほぼありませんでした。病気のときに滋養をつけるのは鶏卵だったなんて、どれほど昔の人なの?と言われそうですが、鶏を飼っている家はよくありました。日本人は粗食でした。そのせいで小柄だったのかもしれませんが、精神性にすぐれ、細やかな心遣いで、親切丁寧を誰もがモットーにしていました。

わたしがベジタリアンを知ったのは70年代後半、高校生のときのことで、オランダのアムステルダムを旅した折に、ベジタリアンフードのレストランをいくつも見かけたのが最初です。

 フードテック(最先端技術)

国民の食生活は、生活水準の向上するにつれて変化し、所得の上昇はタンパク質摂取量の増加に現れるといわれています。

農林水産省フードテック研究会中間とりまとめ「投資の世界状況」
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農林水産省フードテック研究会中間とりまとめ「今後の検討」
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2020年4月には、農林水産省フードテック(最先端技術)研究会が立ち上げられ、同年10月にはフードテック官民協議会が設立されました。今後、世界的にタンパク質の需要が増加していくと見込まれる中で、「おいしさ」といった消費者ニーズ・食の豊かさを確保しつつ、安定的供給を確保するのが目的だそうです。食に関するフードテックを活用したタンパク質の供給源の多様化を図るなど、食料安全保障上のリスク低減を模索することが重要ですが、フードテックの分野において日本は産業の黎明期にあります。

フードテックは、欧米ではすでに700兆円の市場規模だそうです。フードテックのなかで、新しいタンパク源として最も注目されているのは、代替肉(だいたいにく)です。代替肉とは、動物を屠殺・食肉処理した通常の肉ではない代用品、模造肉のことで、食感、味や外観も重視されています。

 代替肉(植物肉 – 大豆・藻類)

代替肉料理
ジャガイモ、小麦、大豆のタンパク質、ココナッツの脂肪など植物成分で作られた代替肉

大豆

代替肉の需要は、新型コロナ禍で200%越えまで高まっています。作られている植物性原料は主としては大豆ベース(豆腐 テンペ)、またはグルテンベース(小麦、穀物、エンドウ豆など)などが出回っています。

わたしも小粒の大豆ミートを使って麻婆豆腐やキーマカレーを作ります。植物由来なのでさっぱりとしていて濃厚さに欠けるのは否めませんが、豆乳チーズも常備しています。

藻類

また、さまざまな光合成植物で、期待されているのが藻類です。クロレラやスピルリナ(藍藻)が有望視されています。栄養価においても必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルも豊富です。

非常に効率のよい肥料を使用し、農薬を必要としません。その上、土壌を節約します。水は問題になる可能性がありますが、閉鎖系の栽培では水を再循環させて廃棄物を制限します。費用を抑えることが目下の重要課題です。

 昆虫食

昆虫食というのもあります。蜂の子やイナゴの佃煮は古代から今日まで食養生が続いています。漢方薬にはゴキブリも含まれていると、漢方医から教わって驚いたことがあります。

コオロギを粉末にしてクラッカー、せんべい、パンケーキ、パスタなどの食品にするスタートアップが注目されています。コオロギ4匹でコップ一杯の牛乳と同じカルシウムが摂取できるそうです。

 培養肉(クリーンミート 人工肉)

次に、フードテックの分野で大いに期待が寄せられている培養肉についてみてみましょう。これは本来の肉でも動物の飼育を伴いません。世界人口の増加や畜産に伴う環境負荷、動物倫理などの解決策として注目されています。

培養肉は本物の動物の筋肉細胞、脂肪細胞、支持細胞、血管からなる本物の肉で従来の肉と同じです。

工場で飼育された肉やシーフードで一般的に使用されている人工ホルモン、抗生物質、ステロイド、薬、遺伝子組み換えなしで生産できます。

けれどもこれは試験管実験で細胞培養した動物細胞なので、人工的に生産された肉を食することに否定的な意見もあります。作製の手順としては、牛の場合、まずは牛の筋肉から採取した細胞を培養液に浸して細胞を増やしていきます。増殖した細胞は自然と繊維状になり、ミンチのような形状で使うことができます。血管や脂肪を組み込んで動物の肉らしくするというのが今後の課題の一つだそうです。

一部の新興企業(Modern Meadows 4など)は、3Dプリンターで人工肉を製造しようとさえしています。これはバイオプリンティングと呼ばれています。

価格は、2020年時点では割高ですが、市場の拡大とともに安くなることとが予想されます。

 背景

世界の肉と牛乳の供給を生み出すためだけに15億頭の牛が飼育されていますが、これらの食品は人間のタンパク質供給のわずか12%にすぎません。

アマゾンの森林伐採の80%が畜産のための土地を拡大するために行われているといわれています。

地球の陸面全体の45%が畜産に利用されていますが、それと比較して穀物・果物・野菜は7%。大豆は地球の陸地の1%未満で栽培されています。

大豆には肉よりも多くの必須アミノ酸すなわちタンパク質が50%多く含まれていると、植物ベースで肉の代替品を開発するインポッシブルフーズの創業者で、スタンフォード大学の生化学科の名誉教授パトリック・O・ブラウン氏は述べます。

代替肉の背景には、人口増加による食糧危機が訪れるという問題、動物倫理などの解決策が前提となっています。

2050年には、世界人口は97億人に達すると推測されています。2015年からすると30%も増える計算で、それに伴って畜産物の需要も70%増加することが見込まれます。この需要に応えるためには、大量の家畜を飼養しなければなりませんが、それには大量の森林破壊、温室効果ガス排出、水資源の大量消費などの環境破壊が懸念され、地球に壊滅的なダメージが待ち受けていると考えられます。

2018年10月、学術誌ネーチャーに、「食の大変革」と銘打った「肉と砂糖の消費削減を提案するガイドライン」が発表されました。2019年1月には英医学雑誌ランセットに「野菜を多くとり、肉、乳製品、砂糖を控えるよう」に提案する論文も発表されています。

「温室効果ガスだけでなく、地球規模の酸性化、富栄養化、土地利用、水利用など地球への影響を減らすための最大の方法は、おそらくヴィーガン食です」と、オックスフォード大学のジョセフ・プーア氏は述べます。「飛行を減らしたり、電気自動車を購入するよりもはるかに大きい」と彼は言いました。なぜならこれらは温室効果ガスの排出を削減するにとどまるからです。農業は、多くの環境問題すべてにまたがるセクターですが、実際、これの多くを担っているのは動物性食品です。

プーア氏と、スイス農業研究所アグロスコープのネメセク氏が明らかにした下記内容は、2018年にサイエンス誌で発表されたものです。「肉と乳製品を消費しなければ、世界の農地の使用量は75%以上削減することができ、これは米国、中国、欧州連合、オーストラリアを合わせた面積に相当します。野生地域の喪失は、野生生物の大量絶滅の主な原因でもあります。」

また分析からわかることは、農地の83%が家畜に使用されていますが、副産物として、温室効果ガス排出量の58%、大気汚染(酸性化)56%、淡水取水(富栄養化)33%を生み出しています。植物性の食事に移行すればこの割合を、大きく削減することができるのです。

富栄養化(ふえいようか)とは、湖沼や内湾等の閉鎖系水域で、窒素、リンなどの栄養塩類の過剰な流入により、生態系に異変が生じて、水質が累進的に悪化する現象のことです。

 食品ロス

たくさんの土地で、わたしたちは確かにたくさんの食べ物を無駄にしています。10億もの人々が飢えているにもかかわらず。

米国農務省の報告によると、食品ロスの総価値に占める上位3つの食品グループは、牛豚肉・鶏肉・魚で30%。続いて野菜が19%。乳製品が17%。米国で生産された食品の最大40%が廃棄物になると推定しています。イギリスの新聞ガーディアンも、世界的に人間が消費するために生産されたすべての食品の約3分の1が、無駄になっていると記しています。

人が、食べるため、またそのほかの何らかの用途のために生産している動物は、無駄を理由に殺されるこの現実を、わたしたちはどのように受け止めればよいのでしょうか。わたしにできることはなんだろう。車で湾岸線を走っていたとき、隣の車線に牛を運ぶトラックがありました。あのときの大きな牛の目を、わたしは忘れることができません。

 想像をはるかに超える2040年以降の暮らしと食

代替肉という名の植物肉は、牛から作られたハンバーガーと同じタンパク質と鉄分を提供しますが、ホルモンや抗生物質を使用せずに生産され、危険な病原菌の貯蔵庫を作らず、コレステロールや食肉処理場の汚染物質を含んでいません。畜産業界における抗生物質の乱用は、世界で「耐性菌の脅威」を生んでいます。

ならば代替肉は体への安全面において万全であるのかといえば、手放しに喜ぶことはできません。代替ということなのですから、これは加工食品であり、遺伝子組み換えをした植物が使用されています。

地球への配慮として水を汚さない、森林を破壊をしない、温暖化をストップさせることは、もっとも改善すべき問題への貢献です。動物愛護の観点でも生物の頂点に立つ人類が善性に向かうか、独善的立場を今後も歩み続けるのかという大問題でもあります。

温暖化の原因は二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素といった排ガスの増加といわれていますが、これに関しては肯定派、反対派にさまざまな意見や解釈があり、利権が絡んでいることは否定できません。

それでも21世紀はシンギュラリティの時代です。シンギュラリティというのは、全人類の知能をコンピュータが超える地点です。地球の未来はわたしたち一般の国民には想像も及ばない社会へと整備され、移行していきます。

我が国の内閣府が掲げているムーンショット計画は、2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現させるというものです。

ムーンショット計画
内閣府が掲げるアバター(自分の分身)を一人が何体も駆使する「ムーンショット計画

このような今まで想像もつかなかった未来を目標に、新しい生活様式をビジョンに描く社会にあっては食の未来も大きく変革するのは当然といえるでしょう。

新型コロナウイルス感染で、屠殺場でクラスターが発生し、アメリカでは22の屠殺場が操業を停止しました。行き場のなくなった農場の鶏や豚も含めて殺処分されました。食料品店は肉の販売を制限し始めたことで、肉の代替品はこれまでにないほどの需要で、272%も急増しました。この流れは元には戻りません。

2019年3月末には、JAXAが「宇宙食料マーケット」の創出を目指し、プログラムSpace Food Xを立ち上げています。30以上の企業、大学、研究機関等が参加し、培養肉(動物肉、魚介類)を含む宇宙で食料を地産地消できる技術の開発を行うのだそうです。

それは、JAXAが2040年代に実現を目指す、月面1000人の居住を可能とする月面基地を構想において、宇宙という極限的な環境での暮らしの課題を抽出し、究極の食のソリューションを共創することを目的にした研究開発です。

これは月と火星への移民の実現に向けた動きの一環で、将来的には宇宙ステーションや火星に培養肉の研究所、工場を建設する予定なのだと・・・。

さて、いかがでしたでしょうか。代替肉という未来の食物を調べていくうちに、地球を超えて、宇宙との共通課題としての「食」にまで及ぶとは思ってもみませんでした。実感が伴いませんが、確かに地球や人類、生命にとって、大きな転換期となるその只中に今があり、あなたもわたしもまさにその地点に立っているのです。

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