花を与えるのは自然 編んで花輪にするのは芸術

真行寺君枝の居間に飾った赤い薔薇

目次

メタモルフォーゼ

ギリシア・ローマ神話

ゲーテの詩

バラの手入れ

 メタモルフォーゼ

「花を与えるのは自然 編んで花輪にするのは芸術」

今回は、ゲーテの言葉にのせて、赤いバラのアレンジメントをお届けします。

このタイトルは、わたしの胸にいつもしまってある言葉です。わたしはゲーテから色々なことを学びましたが何と言っても、「メタモルフォーゼ」が一番印象深いです。

でもその前に、「メタモルフォーゼ」という言葉をはじめて知ったのは、ルドルフ・シュタイナーからでした。シュタイナーを紐解いていくうちに、源泉にはゲーテがいたことに気づきました。

そしてまたそのゲーテにも源泉があって、それは古代ローマのオウィディウスで、ギリシア・ローマ神話『変身物語』でした。『変身物語』はラテン語で、「メタモルフォセス」といいます。この『メタモルフォセス』は全15巻で、宇宙の生成がはじまり、人間が草木や動物などに変身する神話伝承や物語を集めたものです。

 ギリシア・ローマ神話

あなたは神話を、きっとお好きだと想像しますが、わたしは大好きです。神話というと、少し子供っぽく感じるかもしれませんが、近頃の研究では、史実に則していることが明らかになりはじめています。

言われてみるとそうですよね。たとえば、神々の王ゼウスは、雷を投げますが、原始地球では始終、放電が起こっていたと考えられます。生命が誕生するには、まずは有機物が必要ですが、原始地球大気中で雷などのエネルギーによって起こった化学反応は、生命の誕生につながる有機物の生成に関与したと考えられているからです。それに太古の人間は、そうした放電がまだ続いているさまを見て、恐れを抱いていたのではないでしょうか。神話の神々は、今では信仰の対象ではなく、芸術のなかだけで生きています。

 ゲーテの詩

話の趣旨が逸れてしまいましたが、今日あなたにお届けしたいのは、ゲーテの詩です。五月になると、思い出します。ゲーテの芸術に触れると、とても清々しい薫香がどこからともなくあたり一面を大きく包み、わたしは高貴で箴言な余韻に酔うのです。

青年時代

「野の小バラ」

わらべは見つけた、小バラの咲くのを、野に咲く小バラ。

若く目ざめる美しさ、近く見ようとかけよって、心うれしくながめたり。

小バラよ、小バラよ、あかい小バラよ、野に咲く小バラ。

わらべは言った「お前を折るよ、野に咲く小バラ!」

小バラは言った「私は刺します、いつも私を忘れぬように。めったに折られぬ私です」

小バラよ、小バラよ、あかい小バラよ、野に咲く小バラ。

けれども手折った手荒いわらべ、野に咲く小バラ。

小バラは防ぎ刺したれど、泣き声、ため息、かいもなく、折られてしまった、是非もなく。

小バラよ、小バラよ、あかい小バラよ、野に咲く小バラ。

「色どられたリボンに添えて」

小さい花と花びらを やさしい若い春の神々が 軽い手つきで戯れながら 私の薄ぎぬのリボンの上にまく。

そよ風よ、これを翼にのせて 私の愛する人の着物にからませよ!

すると彼女はいそいそと 鏡の前に立って行く。

バラに包まれた自分を見れば 自分もバラのように若やいでいる。

立ったひと目を、いとしい人よ! それで私は満足だ。

この胸の思いを汲みとって ためらわずその手をお出し。

そしてふたりを結ぶこのひもは、 弱いバラのひもではないように。

イタリア旅行以後

「花のあいさつ」

私の摘んだこの花輪、 千度もそなたにごあいさつ。

私は花輪にお辞儀した、 きっと千度もしたでしょう。

いやいや千度の幾倍も 私は胸に抱きしめた。

「五月の歌 (小麦や)」

小麦や大麦の間、いばらの生がきの間、木立や草むらの間、歩き行くいとしい人の行方は?

私にいっておくれ! 私のやさしい人は 家にいなかった。

大切なあの人は 外にいるに違いない。

緑はもえ、花は咲き 美しい五月。

いとしい人は 楽しくのどかに立ち出でる。

川のほとりの岩かげで 草に隠れてあの人が 最初のキスをしてくれた。

そこに何が見える! あの人かしら?

「東西詩篇」の後

「Nun Weiss Man Erst ・・・」

バラの季節過ぎたる今にして、 初めて知る、バラの蕾の何たるかを。

遅れ咲きの茎に輝けるただ一輪 千紫万紅をつないで余れり。

 バラの手入れ

わたしの小さな庭にも今年も赤い小バラが咲いたので、部屋に飾ります。毎年、たくさん咲いてくれます。五月に、喜びを運んでくれます。

手入れという手入れは何もしていません。強いてあげるなら、満開が過ぎると、まだもう少し楽しめるかしらと思うのですが、それでも花びらが庭一面に舞い落ちるので、少しだけ早めにどの枝も切り落とします。剪定の仕方があるのでしょうけれど、お構いなしに。

しばらくするとそこから新たに枝が伸びはじめるので、気になった時に、支柱の間に渡した棒にくくります。

肥料も季節があるのでしょうけれど、こちらも何となくあげておこうと思いついた時に、家にある固形の肥料か、液体のチューブをさしておくだけです。

一番大変なのは、落ち葉です。秋口からしだいしだいに落ちる葉は、毎朝、掃かな異訳にはいきませんので、これが少々難儀ではあります。仕方のないことです。

さあもう数日、バラの喜びにあずかることにいたしましょう。

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