知って得する表皮のやくわり!

真行寺君枝の肌

肌は、表皮・真皮・皮下組織(脂肪)の3層で、成り立っています。

そして一番外側の「表皮」は、4層(手のひらと足の裏は5層)に分かれていますが、この表皮のやくわりを知らないと、とっても損をしてしまうので、ぜひともお読みいただきたいです。

自分の肌のことなのに根本的やくわりを知らずに情報を鵜呑みにしているだけでは、その情報に振り回されて結果的に肌を粗末にしてしまいます。時間と労力と金銭の無駄使いになりかねません。歳を重ねるに従って、否が応でも肌の色合いは失われていきます。だからこそ知恵を付加し、補わなくては!ご一緒に励みましょう。よろしくお願いいたします☆

表皮の構造

さて本日は表皮です。表皮は0.06~0.2mmという薄さなのに、4層〜5層にも分かれているのです。驚異だと思いませんか?

基底層、有棘層(ゆうきょくそう)、顆粒層、淡明層、角質層に分かれています。おのずとやくわりも異なります。

表皮の一番下は基底層で、一番上は角質層です。

表皮細胞は基底層でつくられて、徐々に上へ上へと押し上げられるに従って変化していき、角質層にいたると細胞核を失った死細胞となって、最後は剥がれ落ちます。

それでは、一番下の基底層から順番に見ていきましょう。

【表皮】

目次

  1. 基底層
  2. 有棘層
  3. 顆粒層
  4. 淡明層(手のひらと足裏だけ)
  5. 角質層
  6. まとめ

 1. 基底層

基底層は表皮を生みだすので、芽層とも言われます。

真皮と表皮は、基底層の基底膜で隔てられています。

この基底層の基底細胞が分裂して、新しい細胞が生まれます。

基底ケラチノサイト(基底角化細胞)とも呼ばれる基底細胞が一列の柱状に並ぶ基底層は、表皮を新生する芽層なのです。

基底細胞は細胞分裂すると、それらは肌の表面に向かって成熟しながら徐々に角質層まで移動していきます。

基底層には基底細胞のほかに、メルケル細胞(触覚受容細胞)、メラニン細胞(メラノサイト=色素産生細胞)が、散らばっています。

表皮の層

表皮の層

メラニン細胞

メラニン細胞(メラノサイト)は、紫外線から肌を守ってくれます。組織内を比較的自由に動き、肌と髪の色素沈着に関わっています。

肌や髪のメラニン色素が、DNAを壊す紫外線を吸収してくれるのです。

メラニンというと肌を黒くする悪ものに思いがちですが、メラニンがつくり出されるおかげで肌は紫外線から守られているのです。皮膚癌などにならないように働く重要なやくわりを担っているのです。

メルケル細胞

メルケル細胞

メルケル細胞

メルケル細胞は触覚受容細胞で、刺激を伝えるやくわりをしてくれます。 

真皮の最上部と基底層が接した場所にある感覚(知覚)神経は、触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚などの感覚をもっていて、特に指、口や粘膜、毛根に多く存在します。

肌が刺激を受けると、メルケル細胞内に神経伝達物質が分泌されます。そしてこの情報を受け取った感覚(知覚)神経が、それを脳に伝えるのです。

シナプス(神経細胞と神経細胞の接続部)

 2. 有棘層(ゆうきょくそう)

有棘層

有棘層

表皮の中で最も厚い層は有棘層(5~10層)です。

基底細胞が成熟して有棘層に登ってくると、有棘細胞に変化します。

表皮細胞に角質(ケラチン)が沈着することを、角質化(角化)といいますが、これは有棘層ではじまります。

基底層では細胞は柱のように立方体でしたが、上昇するに従って扁平になっていきます。

ランゲルハンス細胞

ランゲルハンス細胞

この有棘層にはランゲルハンス細胞という免疫細胞が棲んでいます。

ランゲルハンス細胞発見者ランゲルハンス

発見者 18世紀ドイツの医学者パウル・ランゲルハンス

ランゲルハンス細胞のおかげで細菌、ウイルス、化学物質、カビ、放射線、紫外線、また温熱、寒冷などの刺激を脳へ伝え、肌はバランスを保つことができるのです。

ランゲルハンス細胞は、骨髄でつくられます。

最近の研究では、感染や炎症に対する皮膚の反応を弱めていることもイェール大学医学部が明らかにしました。

生命活動には体内の環境を一定に保つホメオスタシス(恒常性)が必須ですが、ランゲルハンス細胞はホメオスタシスを助けるためにバリアを張り、異物の侵入を監視しているのです。

また有棘細胞の隙間にはリンパ液が流れていて、栄養分を運ぶ一方、不要物も回収しています。

ちなみに有棘細胞の名の由来ですが、細胞の周縁が棘のような突起で取り囲まれていて、その突起で細胞同士をつないでいることから名付けられました。

 3. 顆粒層

ラメラ顆粒

ラメラ顆粒

有棘層から成熟して顆粒層(2〜3層)に上がってきたケラチノサイト(角化細胞)を、顆粒細胞と呼びます。

顆粒細胞には、ラメラ顆粒(別称:層板顆粒、オドランド小体)とケラトヒアリン顆粒が含まれています。

ケラトヒアリン

ケラトヒアリンはケラチンがビーズのような粒状で、紫外線を反射し、はね返しています。

顆粒細胞は豊富な脂質を分泌して、角質層の保湿成分となるセラミドの基本成分を産み出します。そして細胞核はこの顆粒層で無くなりはじめます。

 4. 淡明層

足の裏と手のひら

淡明層は、数層の圧迫されたガラス質状です。

淡明層は外界との接触が多い指先を含む手のひらと足裏にあります。皮膚の薄い部分では角質層と区別ができません。

すでに細胞核も見られません。

 5. 角質層

基底層で生まれたケラチン(角質)は、とうとう表皮の一番最外層の角質層(10~20層)に達すると膜状につみ重なります。このときには、すでに活動を終え、扁平で核のない死細胞となっています。

タンパク質のケラチン繊維が凝集した角質は、徐々に垢となって剥がれ落ちます。

ラメラ構造

ラメラ構造

さて、角質層に押し上げられたケラトヒアリン顆粒は変化してアミノ酸に分解され、天然保湿因子がつくられます。

天然保湿因子(NMF)の基本成分と、細胞と細胞の間を埋める脂質のセラミド(細胞間脂質)は顆粒層でつくられましたが、これらが角質層に上昇するとミルフィーユのような層を成します。

脂質と水分の二つの層が交互につみ重なって水分を保ち、肌にうるおいを与えるのです。これをラメラ構造といいます。

角質層は皮脂と水分のつみ重なるラメラ構造であり、うるおいの層だといえます。

ラメラ構造は生命の維持に重要な水分を保つ一方、外部からの異物や紫外線の侵入を阻止するバリアでもあり、冷暖からも保護しています。

セラミド、天然保湿因子(NMF)のほかに皮脂膜も水分量を保たせています。皮脂は毛穴から出て、角質層の表面に広がって肌を保湿しますが、保護のやくめもあります。

どういうことかと言うと、皮脂に含まれる脂肪は肌の常在菌によって分解され脂肪酸を生じます。それが肌の表面を弱酸性にし、これによって病原菌などが排除されているのです。

乾燥肌や敏感肌の方はラメラ構造を整えることで、うるおいのある健康で丈夫な美肌を得ることができるのです。

水分と油

ターンオーバー

細胞にはライフサイクルがありますが、肌の場合は成人では28日前後、高齢になると40〜60日くらいで生まれ変わると考えられています。 

細胞分裂によって新しい肌細胞が基底層で生まれ、それらが成熟するにつれて、肌の表面に向かって移動し、顆粒層で細胞核を失いはじめ、角質層で完全に失って死細胞となりました。そして最終的に垢となって脱落するのです。

この新旧の入れ替わりとなる肌のライフサイクルをターンオーバーといいます。

ターンオーバーとは、新陳代謝のことです。ですので健康的な肌の新生を停滞させずに循環がスムーズに行われるよう心がけることが一番重要なことになります。

そのためには紫外線に気をつけること。早寝早起きの規則正しい習慣を身につけること。睡眠を十分にとること。ストレスを溜めないなどが大事です。

野菜中心のヘルシーな食事を心がけることも大切で、ターンオーバーの促進にはビタミンA、ビタミンB2 がよいといわれています。

ビタミンAは動物性食品に多く含まれますが、ビタミンAが不足するとプロビタミンAから必要な分だけビタミンAが作られます。ニンジン、トマト、柿、ホウレン草など、カロテノイドが豊富な野菜を積極的に摂ることも必要です。

ビタミンB2は海藻類やキノコ類、納豆に多く含まれています。

ビタミンAやビタミンB2を含んだ料理

夫はホテルオークラ元総料理長、妻は料理家 根岸規雄&石原洋子著『ふたりのごはん』より KADOKAWA

 6. まとめ

いかがでしたでしょうか。

肌は、表皮・真皮・皮下組織の3層で成り立っています。

今回は、表皮についてみてきました。表皮はからだの表面をおおい、外部からの異物が侵入しないように守るバリアであり、水分調整をおこないながら、うるおいを与えるように組み立てられていました。

その表皮は基底層で細胞が分裂して生まれ、有棘層、顆粒層、淡明層(掌・足裏)へと段々に成熟しながら上昇して角質層に至り、最後は垢となって剥がれ落ち流ことを記しました。この周期のくり返しが、ターンオーバーでした。

基底層と毛髪の毛母にはメラニン細胞が存在していて、有害な紫外線から皮膚を守るためにメラニンを生成していました。

また触覚受容体のメルケル細胞も存在し、刺激を脳に伝えていました。

その上の有棘層には、免疫細胞のランゲルハンス細胞が存在しました。

外部からの異物が侵入しないようにバリアをはって、体内の環境を一定に保つホメオスタシス(恒常性)を助けていました。

有棘層の上にある顆粒層には、粒状のケラトヒアリンが紫外線を反射させ、はね返していました。

顆粒層の上にある淡明層は掌と指先と足裏だけに存在する層でした。

角質層のバリア機能のやくわりは、水分が体外に逃げるのを防ぐことと、細菌や化学物質、紫外線などの異物が侵入するのを防ぐことでした。また、脂質と水分が層になり、それがつみ重なったラメラ構造をつくって肌にうるおいを与えていました。

さあ、ここまで本当にお疲れさまでした。

最後までお読みになってくださったあなたは、上辺をつくろっただけでは本質には至れないことをご存知のとても意識の高い美の達人です。そのようなあなたは特別な輝きを放っているはずです。

自然の摂理、本当にすごいものですね。これからも有益な情報をお届けできるよう励みますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

監修 熊谷善博 生体防御学/東京大学大学院医学系研究科博士課程修了/ニューヨーク科学アカデミー会員

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